杜若

杜若

親友求めて三千里

冥契のルペルカリア


美少女ゲームブランド、ウグイスカグラの作品。
本作は、演劇を舞台とした物語。
主人公環は元天才子役。一度は演劇から離れた環でしたが、学園祭で、友人の双葉と演劇を目にしたことがきっかけで、裏方として双葉と一緒に演劇の世界へと入っていきます。
途中だれてしまった部分も大分あったんですが、共通ルートやめぐりルート以降は面白かったです。
攻略キャラは、琥珀、めぐり、理世、奈々菜の4人(ルートロックあり)ですが、圧倒的、妹ゲーでした。主人公と妹のための物語と言っても過言じゃない気がする。近親相姦や同性愛(女→女も男→男どちらもある)も含んでおり、恋愛の固定観念について切り込んでいくような描写があった気がします。
共通ルートは長め。終わるまでに大体のキャラは掘り下げられていました。サブキャラの掘り下げも多いです。
逆に個別ルートは短いです。奈々菜、理世に至っては明かされる情報も少なかったかなぁという印象。
好きなキャラは来々と悠苑と双葉でした。
両片想いが好きなので来々→←悠苑は、ド性癖でした。良い……とても良い………。
攻略ヒロインで好きなのはめぐりです。めぐり可愛い。琥珀も結構好き。
サブキャラも含めて濃いキャラクターばかりでした。登場人物たちの心理描写がしっかりと描かれていたからかもしれません。
ただその中で、琥珀は異質だった気がします。作品が終わった今でも琥珀ってなんだったんだろうと考えてしまう。朧についても。
ウグイスカグラ作品はこのルペルカリアが初なんですが、ネットを見ていると紙の上の魔法使いをやった方がいいっていうのも見かけたりするので、その内やってみようかなぁと思います。




以下よりネタバレを含めた感想なのでご注意ください。









天使奈々菜ルート
彼女には、幸せになって欲しいなぁと思いました。奈々菜ルートでわかるのは、あくまで奈々菜周りのことだけ。共通ルートでも奈々菜周りの話はきついなぁと思ったんですが、奈々菜ルートに入っても彼女を取り巻く環境はきつい…。
不倫相手の娘として生まれた奈々菜と、奈々菜を憎み、復讐するために彼女を大事に育てた義母。
共通ルートで、義母が奈々菜にしたことを思うとあまりにも辛いんですが(環と出会わない世界では、奈々菜は自殺を選んでいるわけですし)、かと言って彼女だけが悪いというわけでもない。
本編で奈々菜も言ってましたが、劇場の火事を経て、義母と話をする機会が出来たと思うので、これを機に2人で、いろんなことを話して拗れを少しずつ解消していって欲しいですね。
幸せになってくれよな…。
奈々菜周りのエピソードでは、双葉が虚構世界へと誘ってきた京子に対し、そんなことは意味がないと啖呵切った時や奈々菜がアイドルを頑張ってみると言った時に真剣に協力してくれるところが好きです。双葉は氷狐にスポットがあたった時もとても良い活躍をしてくれるんですが、奈々菜周りだと奈々菜に恋する少女として頑張ってくれるところが良いです。


箱庭理世ルート
主人公よりはどちらかというと氷狐(未来)との関係が強いルート。でも最初に攻略出来るキャラクターの1人だからか、氷狐について語りつつも、結局は外野から見た折原氷狐の域を出なかった気がします。(兄妹の関係を知らないから当然なのですが…)
元は友人関係だった氷狐と理世ですが、次第にすれ違ってしまいます。ただ全てのルートを通して見て、根本的な部分では、2人はやっぱり互いのことを大事な友人だと思っていたし、京子が理世に幸せになって欲しいと願ったのも氷狐自身の本心だったと思うとやるせない気持ちになります。氷狐はもう死んでしまったので…。
あと理世といえば、割と朧が絡んできた印象。
思えば朧って理世には自分のことを少しだけ明かしているんですよね。
氷狐は理世に自分のことを解って欲しいという思いがあったので、そんな氷狐の思いが朧に引き継がれたりしたんだろうか。朧については、劇場火災の時点で既に故人であり、あの場にもいなかったため、何故彼が虚構世界に選ばれたのかが、最後までよくわからなかったです。朧の愛されたいという願いと氷狐の虚構世界が噛み合ったとか?よくわからんな。

匂宮めぐりルート
めぐりルートはあるにはあるが、選択肢により、めぐりルートに入るか、その先に進むかが選べます。私は真っ先にその先に進む方を選んでしまったんですが、めぐりルートを選んでから先に進んだ方が、よりめぐりの喪失感、絶望を落とし込むことが出来るかもしれないと後から思いました。しまった。
めぐりルートの話をすると、来々と悠苑の2人が良かったです。めぐりにとって大事な2人だからか、結構な頻度で2人の仲についての言及があった。良かった。
鈍感にぶにぶ男とそんな男に恋心を寄せる女の子が好きなんですよ〜〜!!!
悠苑のキャラ紹介に来々とは幼馴染とだけ書いてあったので、流石にカプとしては進展しないか…て思っていたんですが。(いたんですが!)
カプとしては進展しなかったんですけど、両片想いっぽい2人が、とてもとても好きです。
共通ルートで来々が悠苑に対して、歳を取っても自分のためにいい女を演じろって言ったり、
めぐりルートでも、女は理解出来ないけど、悠苑は特別(意訳)って言ったり……。
無自覚たらし(悠苑限定)はとてもとても良いですね…。
あと悠苑が、来々にガチめのバレンタインチョコを渡したというエピソードにも萌えたし、悠苑のヘアゴムを来々がずっと身につけているというエピソードにも萌えました。
この2人のこれからがとてもとても気になるんですけれど、現実が……なので、めぐりの望んだ世界でしか2人のやり取りが見られないというのは正直辛いですね……幸せになって欲しかった。
めぐりルートといえば、めぐりと来々のやり取りも好きですね…歳の離れた兄妹って感じで。作中の血の繋がった兄妹は実際はドロドロしてるんですけれど、血の繋がってない来々とめぐりが実の兄妹みたいに仲が良かったのが、なんというかなんというか、儘ならないなぁという感じです。
とはいえ、来々とめぐりも共通ルートでは、ぶつかり合っているんですけど…。
めぐりルートで、環を問いただそうとする来々が、めぐりの保護者オーラを漂わせていて良かったです。火災に巻き込まれた時も呆然としているめぐりに対し、生きていて欲しいと願った来々は…本当…本当に…。


架橋琥珀ルート
めぐりルートと同じように選択肢に入るルート。
作品を通して本当の琥珀自身があまり見えては来なかったのですが、それもあってか琥珀ルートでは妹の代わりになっていて、なんだか辛かったです。琥珀自身が受け入れた道とはいえ…。

上記のふせったーでも書いたんですけれど、
朧同様、琥珀も作中においてわからないことが多かったです。結局琥珀と朧はなんだったんだろうか。
他の人たちは願いや虚構に入り込んだ理由がわかりやすいんですけど、琥珀は願いが、朧は(理世ルートの項目でも書きましたが)入り込んだ理由がよくわからないんですよね。だからこそ、未来が切り離した2つをそれぞれ託されたのかもしれませんが。
ただ琥珀については、劇場火災に居合わせた描写がある、現実では恐らく何者でもなかった(空っぽだった)、氷狐のことを理解しようとしていた描写がある?ことから才能を譲り渡す存在として合致したのかな…
それから、朧と琥珀は自分のことを舞台装置と言ってましたが、これもどういう意味だったんでしょうか…。
氷狐が、琥珀と朧に自身の才能や感情を譲り渡しているところを見ると、氷狐が京子として生きることが出来るための装置ってことなのかなぁ。わからない。
ここからは琥珀ルートにおける朧の話になります。氷狐に環が好きという感情を渡された朧。
環に対する朧の台詞とかを見ているともしや…?なんて思ってはいたんですが、まさか本当に好きだったという描写が描かれるとは思わなかったし、なんなら琥珀ルートで、環に告白するなんて思いませんでした。死に際なのですが。
例のシーンを見てから、朧は一体どんな気持ちで環と話をしていたんだろうか…と考えてしまいます。
来々といい、朧といい、女の子キャラだけでなく、サブの男キャラもとても良いキャラをしていて、この辺りまでくると、本編を進めるのが楽しかったです。


瀬和未来について
ルートではないのですが、奈々菜、理世、めぐり、琥珀を経て、最後に彼女についての話が語られます。
環を最も近い場所で見てきた存在であり、環の心に大きな影響を及ぼした人。主人公…環自身は全ルートを通してあんまり好きにはなれなかったのですが、未来の環に対する思いや語りは良かったし、圧倒的ヒロインだな…て思いました。妹が強すぎる。
結局妹であるが故に不幸を重ねてしまったし、かといって妹でなければ、互いに想い合うようなことはなかったかもしれない、と思うと複雑です。
でも、そんな中未来に対し、叱咤する双葉はとても良かった。
共通ルートの時にも思ったんですけど、双葉がすごく良いキャラで、見せ場もあって好きです。双葉自身は、女の子キャラながらも主人公の友人ポジで、主人公の良き理解者。
でも、女の子しか好きになれないために攻略対象としては、成り立たない。
そんな双葉だからこそ、環に寄り添いながらも寄り添いすぎないという絶妙なバランスを保っているなぁと思いました。
双葉…ほんと好き……。







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立花/りつか

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